「壊すのは簡単だが、使い方を考えたかった」
Pearl Bay Oasisは、2014年の夏に開業しました。創業者の中村 誠一、長野県飯山市で生まれ育ち、20代の大半を東京の建築設計事務所で過ごしました。30代半ばに父親の土地を引き継いだとき、そこには手入れされないまま育った杉林が広がっていました。「壊すのは簡単だが、使い方を考えたかった」と中村 誠一す。2年間の設計と施工を経て、6棟のコテージが完成しました。
開業当初、朝食は中村 誠一人で作っていました。最初の冬は予約がほとんど入らず、薪を割りながら次の春を待ちました。転機は2016年の秋で、長野県の地域観光誌に小さな記事が掲載されたことがきっかけで、週末の予約が少しずつ埋まるようになりました。今では飯山市の農家・田中農園から毎朝野菜を仕入れ、地元の木工作家・松本工房が作った家具をコテージに置いています。スタッフは現在3名で、全員が飯山市または近隣の市町村の出身です。
Pearl Bay Oasisは、大きなリゾートではありません。6棟のコテージ、1本の散策路、毎朝の朝食。それだけです。「何もしない時間を作るための場所」として設計しました。携帯の電波は敷地の一部でしか入りません。それを不便と感じる方もいますが、それを目的に来てくださる方も増えています。夏の間は、早朝の霧と鳥の声が目覚まし代わりになります。
中村 誠一1975年、長野県飯山市生まれ。東京の建築設計事務所に15年間勤務し、主に木造住宅と小規模宿泊施設の設計を担当した。2012年に父親の死去に伴い飯山市の山林を相続し、2年間の設計・施工期間を経て2014年にPearl Bay Oasisを開業。趣味は早朝の森林散策と、地元の農家との会話。「宿を作ったというより、父の土地に返事をした感じです」と語る。